前々から個人的にすごーく気になっておりました
阪急の連結器の話です
連結器は機能からして
当然、互換性が必要となる道具でして


名鉄を例にしますと
基本的には左写真の車両のように
自動連結器の下に電気連結器がついています
これがデフォルトで
通常の運用で連結することがない先頭車には
右写真のように、電気連結器部分が省略されています
電気連結器がないため、
そのままでは協調運転ができませんが、
自動連結器の部分は同じなので、
故障の救援の際はお互い連結することができます
というように
基本的な部分は共通にすることで
通常の連結だけでなく異常時にも対応できるよう
同じ連結器を使うことがベターです
しかし、阪急はというと



大きく分けて3種類の連結器があります
名称は鉄道ピクトリアルによると
左から「自動連結器」「自動密着連結器」
「全自動密着連結器」となっています
以下ではそれぞれ
「自連」「密連」「全密連」と略します
密連と全密連は
先ほどの名鉄の2種と同じ感じですので、直接連結できます
しかし、自連とは連結できません
前から「なんで統一しないのかな」と気になっていました
詳しく見ていくと


比較的古いタイプ(5000系列以前)は
自連が基本となっています
梅田方のみ連結器の根元から横に向けて
バネがついています
復心装置というらしいです
連結器の下辺が
ななめに出ているのが特徴です
これは旧型車の連結器の位置が低く、
それにも対応するために下辺が延長されたようです
基本は自連ですが、編成の中に入る先頭車には
乗り心地改善のため全密連が装着されています
この車両はもともと宝塚本線で8両を組んでいた編成で
分割されて箕面線に来たため、
片方の先頭車のみ、全密連がそのまま装備されています
屋根がアイボリーでない車両が
自連でない姿を見ると不思議な感じがします
つづいて6000、7000系列ですが
この系列が一番入り組んでいます



編成によってそれぞれ異なるうえ、
同じ編成でも前後で連結器形状が違うこともざら
というか前後で揃っている方が
めずらしいんじゃないかというくらいです


同じ6000系8両編成の梅田方でも
自連だったり全密連だったり・・・
増結運用に入れる編成で他車と連結する側の先頭車は
確実に全密連を装備するので、
ひとつの見分けポイントになります
特に最近の宝塚線6000系8両編成は
梅田方が自連の車両は8連運用専用、
全密連の車両は10連運用対応と
大体見分けることができます
ちなみにこの世代からは
自連の梅田方の復心装置はなくなり、
また、旧型車が置き換えられたので、下辺が水平になりました
7000系のリニューアル車でも
神戸方は自連の車両もいたりと
なかなか規則性がありません
ちなみにこの7012Fの梅田方先頭車は全密連なので
前後の車両の連結器に互換性がありません



つづいて8000系列
8両固定編成に限って言えば
梅田方は全密連、神宝方は自連、京都方は密連で
統一されています(だったはず)
2両編成などを含めれば
当然、もっと複雑ですが・・・


9000系列ではついに自連が消滅し、
梅田方は全密連、神宝京方は密連に統一されました
増結車を付ける可能性のある梅田方は
連結開放に優れた全密連、
営業運転で使う可能性のない
神宝京方は全密連と互換性のある密連に統一され
わかりやすくなりました
そして増結運用を考慮しなくなった
1000系列では全車が密連で統一されています
と、いうわけでざっくり連結器の変遷を追ってみました
保守が楽な自連、乗り心地が良くなる密連
乗り心地に加えて連結開放が楽な全密連
それぞれメリット、デメリットがあり
使い分けているようですが、
個人的には6000系列以降は
密連と全密連に統一してほしいなと思ってみたり・・・
最初の方に自連と密連、全密連は
連結ができないと書きましたが、
阪急の場合、密連・全密連の車両には
連結器の横に「連結器中間体」と書かれた箱があり、
自連と引っ付けるときに使うアダプターが入っていて、
緊急時にはそれを使うようです
なので、特に急いで統一させる必要もないようですね
最後にこちらの車両
元々、この7155号車は
神戸線の2両増結車の神戸方の車両でした
神戸方に8両編成を連結させるため
全密連を装備していました
しかし、伊丹線に転勤したことで
7155号車が連結する運用はなくなり
電気連結器が撤去され、密連になっています
このように現在でも、運用替えによって
連結器が交換されるということもあるようです