マルーンの部屋

東海、関西地方の鉄道とバスのブログ

阪急の連結器の話

前々から個人的にすごーく気になっておりました

阪急の連結器の話です

 

連結器は機能からして当然、互換性が必要となる道具で

・物理的に車体をつなぐ

・空気管をつなぐ(ブレーキとかに使う)

・電気回路をつなぐ(加速、ブレーキ、各種設定などに使う)

 

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名鉄を例にしますと、基本的には左写真の車両のように

物理的連結、空気管をつなぐ2役をする自動連結器

(握手を求めてくるような形の部分)の下に

電気回路を構成する電気連結器

(恵方巻を横から見たような感じのやつ)がついています

 

これがデフォルトで

通常の運用で連結することがない先頭車には

右写真のように、電気連結器部分が省略されています

 

電気連結器がないため、加速などの指示が通らず

そのままでは協調運転ができませんが、

自動連結器の部分は同じなので、

故障の救援の際はお互い連結することができます

(空気的にはつながるので一部のブレーキは可能)

 

というように、基本的な部分は共通にすることで

通常の連結だけでなく異常時にも対応できるよう

同じ連結器を使うことがベターです

 

しかし、阪急はというと

 

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大きく分けて3種類の連結器があります

 

名称は鉄道ピクトリアルによると

左から「自動連結器」「自動密着連結器」「全自動密着連結器」とのこと

 

以下ではそれぞれ

「自連」「密連」「全密連」と略します

 

密連と全密連は

先ほどの名鉄の2種と同じ感じですので、

(電気回路の構成ができないだけで)直接連結できます

しかし、自連とは連結できません

 

前から「なんで統一しないのかな」と気になっていました

 

一番つよい全密連を基準にすると

 

密連・・・下位互換。電気的な連結が自動でできないので

頻繁に連結解放を行う車両には不適だが

空気的にはつながっているので、ブレーキの使用は可能

緊急時の牽引などで有効

 

自連・・・互換性なし。連結時に隙間があるので乗り心地は悪い

後述のアダプターを使えば連結可能

 

 

詳しく見ていくと

 

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比較的古いタイプ(5000系列以前)は

自連が基本となっています

 

構造が簡単な代わりに、連結した時に隙間ができてしまうために

乗り心地は下がってしまうという欠点があります

(加減速時に前後にゴンゴンする感じ)

 

梅田方のみ連結器の根元から横に向けて、バネがついています

復心装置というらしいです

(カーブがきつい伊丹線用とかの車両には一部ついていないとか)

 

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連結器の下辺が

ななめに出ているのが特徴です

これは旧型車の連結器の位置が低く、

それにも対応するために下辺が延長されたようです

 

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5000系以前の車両では基本は自連ですが、

編成の中に入る先頭車には

乗り心地改善のため全密連が装着されています

 

この車両はもともと宝塚本線で8両を組んでいた編成で

分割されて箕面線に来たため、

片方の先頭車のみ、全密連がそのまま装備されています

 

屋根がアイボリーでない車両が

自連でない姿を見ると不思議な感じがします

 

 

つづいて6000、7000系列ですが

この系列が一番入り組んでいます

 

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編成によってそれぞれ異なるうえ、

同じ編成でも前後で連結器形状が違うこともざら

 

というか前後で揃っている方が

めずらしいんじゃないかというくらいです

 

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同じ6000系8両編成の梅田方でも

自連だったり全密連だったり・・・

 

増結運用に入れる編成で、他車と連結する側の先頭車は

確実に全密連を装備するので

増結対応可否の見分けポイントになります

 

特に最近の宝塚線6000系8両編成は

梅田方が自連の車両は10連運用非対応、全密連の車両は対応と

大体見分けることができます

 

ちなみにこの世代からは自連の梅田方の復心装置はなくなり、

また、旧型車が置き換えられたので、下辺が水平になりました

 

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5000系以前の車両も含めて、

古い車両が自連率が高いという傾向はありますが

先ほどのように6000系で全密連がいる一方で、

比較的新しい7000系のリニューアル車でも

神戸方は自連の車両もいたりと、なかなか規則性がありません(笑)

 

ちなみにこの7012Fの梅田方先頭車は全密連なので

前後の車両の連結器に互換性がありません

 

 

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つづいて8000系列

8両固定編成に限って言えば

梅田方は全密連、神宝方は自連、京都方は密連で

統一されています(だったはず)

 

2両編成などを含めれば

当然、もっと複雑ですが・・・

 

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9000系列ではついに自連が消滅し、

梅田方は全密連、神宝京方は密連に統一されました

 

増結車を付ける可能性のある梅田方は

連結開放に優れた全密連、

営業運転で使う可能性のない

神宝京方は全密連と互換性のある密連に統一され

わかりやすくなりました

 

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そして増結運用を考慮しなくなった

1000系列では全車が密連で統一されています

 

 

と、いうわけでざっくり連結器の変遷を追ってみました

 

保守が楽な自連、乗り心地が良くなる密連

乗り心地に加えて連結開放が楽な全密連

 

それぞれメリット、デメリットがあり

使い分けているようですが、

 

個人的には6000系列以降は見た目的に

密連と全密連に統一してほしいなと思ってみたり・・・

 

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最初の方に自連と密連、全密連は

連結ができないと書きましたが、

 

阪急の場合、密連・全密連の車両には

連結器の横に「連結器中間体」と書かれた箱があり、

自連と引っ付けるときに使うアダプターが入っていて、

緊急時にはそれを使うようです

 

なので、特に急いで統一させる必要もないようですね

 

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最後にこちらの車両

 

元々、この7155号車は

神戸線の2両増結車の神戸方の車両でした

 神戸方に8両編成を連結させるため

全密連を装備していました

 

しかし、伊丹線に転勤したことで

7155号車が連結する運用はなくなり

電気連結器が撤去され、密連になっています

 

このように現在でも、運用替えによって

連結器が交換されるということもあるようです